OFFICE風太郎

日本のエンジニア、風太郎です。問題解決が飯のタネです。仕事や生活で問題解決を活用したり、問題解決の基礎となる統計とかデータ分析の話をしていきます

老害が会社を潰すのはこれが原因か? 「書籍:シャーデンフロイデ(他人を引きずり下ろす快感)」

自社の衰退を説明できるこの一冊

 Japan as No1と言われたのは1980年代です。経済侵略で大国となった未来日本を題材とした映画「ゴジラキングギドラ」の公開は1991年でした。多くのフィクションでは日本の未来は明るいものでした。
 残念ながら、そのような未来はやってきませんでした。メガゾーン23(1985年)で「過去で一番豊かで平和な時代」というのが当たっていたかの様に、日本経済は低迷しました。
 今までその低迷についていろいろな本がありました。この本はその原因を説明できる一つではないか?思える本です。「思える」と曖昧な書き方をしたのはこの本はマネジメントの本ではなく”心理学の本”です。心理学の本で企業の栄枯盛衰を論じた本を読んでなかったので、曖昧な書き方にしました。集団の心理や個人の心理が組織の問題点につながっているということがこの本に書いていあります。組織=会社としたときにこの本の内容が当てはまります。
 そういう視点でこの本を読むことによっていろいろ考えることができます。

マネジメントと心理学

 普通にいろいろなマネジメントの本を読んで感じる違和感は余りにも内容が理性的過ぎるのも一因かもしれません。
 失敗した事例も理性的に何を見落としたのか語っている場合がほとんどです。
 そういったマネジメントの本に飽きてきた頃、その中で今までと違うことを聞きました。ある官僚の人から「国のプロジェクトに出してもらう企業人はトップの人は困る。何故ならば彼らは成功すると思っているからだ。二番手、三番手がありがたい、失敗の経験があるから注意深く考え、勉強もするからだ」 という意味のことをおっしゃっていました。 
 そういうようなことを聞いていて、その心理状態に興味を持ち始めました。それだから心理学のこの本が心に刺さったようです。

心理学実験と実際の会社

 この本にはいくつもの心理学実験の内容が書いてあります。その中で二つほど引用してみます。
サードウェイブ実験 - Wikipedia
ラットパーク - Wikipedia  一つは高校の実験です。きっちりした心理学実験ではない様で、記録も曖昧です。後者はラットの練習です。この本で引用されている心理学実験は古いものが多いです。また、動物実験とかもかなりあります。理由は「人間を実験にすることの倫理問題」と「人間と動物の共通点」ということです。これは別の本に書いてあったことです。機会があればまた紹介しますね。
 前者の事例で重要なのは、人があるルールを強要されてその組織に所属すると一体感が生まれるということです。それが組織としてのパフォーマンスをあげるということになります。しかし、それはやがて内部ルールの暴走を産み、組織外への悪影響すら出てきます。
 後者の事例は不満があるときには麻薬に溺れるというラットの実験です。

 これを実際に組織の間で働いていた経験に当てはめるとぴったりくるものが多くあります。
 1980年代に日本が強かったというのは製造業です。どこの会社でも当たり前の様に「体操」してました。毎朝体操するルールなんです。その他もバカみたいなルールがありました。休みに日に半強制なマラソン大会みたいなのもあります。リアルにこんな感じでした。

tenshoku-web.jp

 アメリカの大手放送局が、ニュース番組の為に日本企業の体操のシーンを撮影にきたこともありました。その時は「日本人は勤勉です」なんて思ったものでした。実態は訳のわからないルールに縛られていただけなんですね。
 こういう風に組織の一体感があるとパフォーマンスがあがります。だから、改善とかうまくいったんでしょう。改善の現場にいた風太郎としてはそういう一体感が大事っていうのはすごくわかります。
 ただ、そういうのも限界があります。人間は同じ枠内で無限にパフォーマンスあげられるわけではありません。そうすると不満になります。今度はラットの出番です。
 バブル期に上昇を体験したおじさん世代です。若い人を目の前にして「今時の若いものは」とか、部下を前にして「僕が君ぐらいの地位の時には」とのきつい”ご指導”を浴びせます。この時に麻薬がでてるんですね(この本からの知識です)。
 人が攻撃的になって一方的に勝っているときに麻薬が出てきます。それに溺れてしまう様です。

ようするに、説教する老害は退屈して麻薬に溺れるジャンキーなんです
 なるほど、、、それは会社のパフォーマンス落ちるわけだわ、、、かなり納得できる現象が会社にある!とこの本から読み解くことができます。

心理学を学ぶということ

 こういう風に考えると、会社の中で起こっているいろいろな現象は心理学の面からわかりそうです。今までは、あまりそういう考え方をしていなかった風太郎には新鮮な本でした。
 心理学の本をその様に読んだことがなくて、たまたま今回こういう視点に気がつきました。たまたまKindleで安売りしていたから購入した本です。こういう本との出会いもいいですね。最近本を読むのが多く、多読乱読の状態です。そうするとこういういい本との出会いもあって楽しくなってきます。
 また機会があったらこんないい出会いを紹介したいと思います。