OFFICE風太郎

日本のエンジニア、風太郎です。問題解決が飯のタネです。仕事や生活で問題解決を活用したり、問題解決の基礎となる統計とかデータ分析の話をしていきます

組織のあり方として一読の価値ありーー国のために死ねるか自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動

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 自衛隊というのが日本にはあります。昨今は災害救助としてその存在感を増しています。この自衛隊が組織改善の一つの参考になるってわかった本です。自衛隊は民間企業とは比べ物にならないほど大きな組織です。この本はその大きな自衛隊でなく、少人数の特殊部隊設立を中心とした本です。

 風太郎は、ブログに載せない本も読んでいます。この本も元々紹介することは考えていませんでした。しかし、読んでみると組織の在り方などいろいろ参考になりました。ぜひ皆さんにも読んで欲しいと思い紹介します。

著者について

 元海上自衛官で特殊部隊の創設メンバーの一人です。以前よりインタビュー記事でお話を読ませていただいており、その体験に興味をもっていて今回書籍があることを知り購入しました。「特殊部隊」というのがどういうものかと思って読み始めました。
 思想面の事などは本ブログとは関係ないので置いておきましょう。正直風太郎が力を入れる問題解決とは程遠いところにある本だと思って読んでいたのです。ですが、前述の様に、ぜひこのブログで紹介したい!と考えるほど組織について述べているいい本でした。

この本の内容

 この本で最初に驚いた言葉は

「海軍伝統の無声指揮」です。
これは”無声”の”指揮”とあるのは誤字ではありません

 上位は細かい指示をする必要もなければ、報告がない!と怒る必要もありません。しっかりと「何のためにやるのか」という事を理解させればいいのです。そうすれば、言葉で指揮しなくても各自やるべきことをやるということです。

 風太郎の体験では、昔こう言う体験しました。製造部門が強いことで有名な某大手企業の製造ラインに見学に伺いました。ある伝手で社内向けの改善報告を聞く事が出来ました。その時は○○工学の高名な先生も同席していただきました。
 報告ではいきなり「社長はこう言っている・・・」と始まり、「その思いを実現するためにこのように改善した・・」と続いていくのです。風太郎はそういうのは初めてでなかったのですが、先生は経験がなかったらしいです。
「これはすごい!」を数年に渡って言い続けていました。やはりトップの意思が末端まで届いて実行できる組織というのはすごいのでしょう。

 こういうのが何故できるのかはこの本には書いていませんでしたが、こういう風に一人一人の自覚というもので組織が回ることを書いてありました。他にもメンバー同士の意思疎通の話などもあります。

特筆すべきは管理者のことに言及した事

 おそらく日本の特徴でしょうか?マネジメント未満、実務者層について書いてある本が大多数です。海外だとドラッガー中心にマネジメントの本も多いのですが、日本はそういうのは少ないものです。中には「強い現場、弱い本社」という言葉で暗にマネジメントが弱いと言っている先生もいらっしゃいます。
 この本はマネジメント層についても言及しています。そこから2点ほど引用します。

指揮官 が、 うそ、 ごまかし、 背伸び なし に、 ただ ひたすら に 任務 を まっとうしよ う と すれ ば、 組織 内 の 各 個人 は、 自ら「 指揮」 さ れよ う とする 気持ち が わき 上がる。

とか、やたら報告を求める上司に対して

それ は、 試合 中 の ボクサー に 実況放送 も 同時に しろ と 言っ て いる よう な もの で あっ た。

 と表現したりしています。著者は海上自衛隊出身で、陸上自衛隊とも交流があり、特殊部隊の指揮官として、その任務や状況によってマネジメントが異なるとした上で論じています。職務次第でマネジメントが異なるのは企業も同様ではないでしょうか?そう言ったことを考えて読むのも面白いと思います。この事例で「あるある」と思った人も多いかもしれません。そういう組織改善に参考になる本です。

 自衛隊というのは非常に危険な仕事です。災害救助でも危険なことも多いでしょう。ましてや特殊部隊といえばもっと困難なこともあるでしょう。そう言った組織にいたからこそ書ける内容です。