統計思考入門 プロの分析スキルで「ひらめき」をつかむ
kindle unlimited
この本はあんまり期待せずに読み始めた。「どうせunlimitedだしね」と考えて読んだ。しかし、この本はかなりいい本だというのが読んだ結果です。特に統計を学んだり使ったことがない人に良い本ですね。よく仕事では、現地現物が大事といわれます。ですが、現地にいっただけで上手くやれるわけではありません、現実を掴むことが大事です。そういう場面で統計がよく用いられます。
統計をエンジニアリングに適用することに関して、高名な方の書籍は読ませて頂きました。そして何名かに実際にお話を伺う事ができました。しかし、この著者の方は存じ上げていませんでした。書籍の事例からマーケッティング関係の人なのでしょう。ひょっとしたらその業界の人からは「えー、水越孝しらないの?モグリじゃねぇ?」というレベルの人かもしれません。
そう思わせるほど良い出来の本です。
この本を良書と思うわけ
この本を良書と思う理由は3つあります。
まず第一に事例に迫力があることです。多くの書籍は解決してもあまり効果のないこと(いわゆるToy Problem)を事例にあげています。それに対して、この本の事例はショッピングセンターを実名で上げています。
その次によい点が論理展開のところに上手に統計を用いているところです。統計は道具なのでどういうメリットがあるかはっきりしないと多くの人は使う気にならないでしょう。そういう面でこの本の論旨の展開は興味をひかれます。
三つ目は説明されている手法の良さです。奇をてらわずに実務に沿った流れになっています。その中に色々なシチュエーションで使える手法が述べられています。
風太郎の仕事の中で「統計」「ビッグデータ分析」があります。それでお金をいただいているのがプロだとするならば、風太郎はプロです。そのプロ目線で統計を語る上で一番大事なことと感じるのは「ばらつき」です。この本はそれについてもしっかり言及しています。考えないと正しく現実を掴みとることが出来ません。
ばらつきの例にあげられるのがテレビの視聴率です。あれは一部の世帯の視聴率なので全体とはずれがあります。どれだけずれているかは統計を使えばわかります。統計のばらつきの考え方を使うのです。
これはサンプリングの考え方でこの本でもしっかり述べられています。
その外に主成分分析という手法も取り上げられています。これは昨今のビッグデータの流行語で多くのデータの傾向を見るのにまた使われ始めた方法です。
この様に応用範囲の広い手法を使いながら良い実例で説明していくのが特徴の本です。