OFFICE風太郎

日本のエンジニア、風太郎です。問題解決が飯のタネです。仕事や生活で問題解決を活用したり、問題解決の基礎となる統計とかデータ分析の話をしていきます

命と引き換えの教訓

三陸海岸津波

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 この本は災害の多い日本に住む人に読んでほしいのは当然として、企業で品質管理やリスク管理を行っている人に見てほしい本です。
 内容は主に明治、昭和の大津波の証言をまとめたものです。他のノンフィクションと比較すると作者の思いは非常に少なくなっています。別の紹介記事書いた様に作者独自の視点が少ないと盛りあがりに欠ける場合が多くなります。しかしこの本の場合は、調査した内容がど迫力でせまってきます。
 そのため、津波の恐ろしさの一つ一つが湧き上がってきます。ちゃんと逃げればなくならずに済んだ方も多くいまsした。それに対して「逃げなかった人が悪い」とは言えない状況でしょう。このことは災害だけでなく、日々の仕事、生活でも起きる可能性は大きいです。そういう意味で、前記のように企業人にも仕事視点で読んで欲しい本です。当然、企業人だけでなく、日本人は読まないといけない本!とまで断言してもいいかもしれません。
 逃げなかった人などの具体的証言は「地震が怒ったけど、外は寒いので家の中で待機した(凍死レベルなので避けるのは当たりまえ)」「津波を恐れたが、古老が”大丈夫”といったので安心した」「長い間津波が来なかったので、家の位置がどんどん低くなっていった」「まさか太平洋の反対側の地震チリ地震)で津波が起こるとは思えなかった」などです。
 こういう話を聞くと、正直自分でもそうなっちゃうだろうなぁ?と思います。しかし、そういう”気持ち”とは別に”冷静”に判断することは大事でしょう。企業においては、リスク管理を行なっている部門が”うざい”と言われながらでもこういうことを考慮していく必要があります。
 また、事例であった「チリ地震による津波」などは、一般の人は想像もつきません。そこを事前に考慮して対応を行なっていくことがリスク管理部門(とくにエンジニアと科学者)の仕事でしょう。

 この津波の本を読んで、ある経験を思い出します。風太郎は住んでいた賃貸マンションの他の部屋が火事になったことあります。火事といっても部屋の内部でくすぶっていたらしくて、炎は上がらず、匂いがものすごいものでした。心配になって、匂いの強いフロアのいくつか部屋を、チャイムを鳴らして確認しました。その時の皆さんの反応の鈍いこと鈍いこと、、、「匂いがしますねぇ」といって引っ込んだ方もいました。結果論からいうとおおごとにならなかったので対応が正しいと言えば正しいのですが、リスクのこと考えると危険なことです。 津波てんでんこ - Wikipedia という言葉のように、まず自分を守る、家族を守る、地域を守るということが大事だと考えました。「釜石の奇跡」の話は聞いていたので、家族には「俺は俺で逃げる、お前はお前で逃げろ!心配だからと言って絶対見に戻るな!俺は今から確認して必要の応じて避難の呼びかけをしたり、消防を呼ぶ」と連絡しておきました。
 結果としては大事に至らず、周りの人もぞろぞろと逃げ出して、数時間後には落ち着きました。もし、この時に大きな火事になって、風太郎らの命が救われたとしたらこの本にか書かれている体験や、3・11の体験のおかげだろうと思います。  品質の仕事をしていると同様に、根拠のない”大丈夫だろう”という安心でいろいろな問題が起こることもあると思います。また、いつ災害がやっているかわかりません。その時の対応は記憶の風化と共に甘くなります。そのためにときどきこのような本を読むのは大事でしょう。繰り返していうと、災害の多い日本に住む以上過去の経験を追体験するために、このような本を読むことも大事です。
 これからもときどきは大災害の本を読んでいこうと思います。