ここでは製造業に置ける問題解決の事例を述べてみます。対象は料理の唐揚げですが、製造業に使えるように書いています。
特に技術革新が品質向上にどのような影響を与えるか?そこのところも重視しています。
品質向上を目指すとコストが下がる!?
この命題は昔より言われていることです。何度か中国の方に講義を行ったことがあります。最初の頃(中国のGNPが日本に届かなかった頃)は「品質をあげるとコストが上がるか?」という問いかけに対してほぼ全員がYesでした。しかし、数年後同じ質問をすると半数ぐらいしかYesとなりませんでした。
風太郎は日本の成功理由の一つが、品質をあげながらコストを下げるといったことに成功したからだと考えています。
品質を向上させるとコストが下がるわけ
品質が悪いと次のような明示的なコストがあります。
です。
そのほかに出荷後の初期故障やお客様の満足度低下などが発生します。
そのため、普段の品質管理を行うほかに、新技術があれば導入して、品質向上を含めた生産性向上を行っていこうとします。
唐揚げを事例とした問題解決による品質向上とコストダウン
ここでは多くの人が大好きな唐揚げを題材として問題解決の事例を論じてみます。
また、新技術として「IH調理器」を導入したが、うまく活用できなかった。という製造業あるあるの対策も行っています。
問題
大好きな唐揚げを作ります。その時の問題としては、副次的な問題を含めて次の通りです。
- 中まで火が通らない
- 逆に火が通り過ぎてまずい
- 外側が固すぎる(ほぼ捨てるレベル)
- 外に油が跳ねる
という状況です。会社ならば売り物にならないものをもったいなくて食べているという感じです。もしこれを捨てたとしたらどうなるでしょうか?製造での仕事を考えて一般的な言葉も織り交ぜながら述べてみます。
- コストアップまたは食べる量が減る
- 追加材料を購入する場合、その量が見込めない(捨てる量が見込めないから)
- 残ったやつも美味しくない といった状況です。
これに対して今までにとった対策は次の通りです。
- 肉を常温に戻した(室温放置)
- 2度揚げを行った(手動温調とIHの揚げ物温度調整を活用)
しかしながら、次のような問題点がありました
- IHの揚げ物温度調整ではエラーが出てしまうことが多く使いにくい
- エラーが出なくても、設定温度までに時間がかかる
- 手動温調ではうまく温度コントロールができない
現状把握
対策のために現状をよく把握します。
唐揚げのステップを見ると
肉を切る>唐揚げ粉をまぶす(or漬ける)>室温戻し>1度目揚げる>2度目揚げる
という大変シンプルな工程です。
ここで難しいなと感じたのは
- 肉を切る→同じ大きさに切るのは難しい
- 揚げる時の温度コントロール
の二つです。最初の同じ大きさの切るというは個人の家では難しいです。お店だと細かい肉は他に使い道がありますが、家庭ではありません。そもそも包丁さばきも下手です。本来はそれでも上手に揚げるための2度揚げです。それがうまく行っていません。
IHのエラーでうまく行かないことが一番のネックだと考えました。
目標設定
揚げ物のIH温度のコントロールがうまくいくようにする。
要因の解析
まずIHの原理をよく考えます。温度はおそらくセンサーがIH面に仕込まれているのでしょう。それを元にIHの電力を制御しているものと思われます。その制御がうまく行かないときにエラーが出るのでしょう。
対策立案
使っているのは、アルミにステンレスを打ち込んだフライパンです。よく観察すると底面が反っています。そこで、平らで密着する鍋を使いました。具体的には一番下に書いてあるホーロー鍋です。
これなら平面のため、センサーや各種制御がうまくいくのではないか?と仮説を立てました。
また、蓋付きのため、温度も早くあがると推定しました。
結果
エラーが発生せず、設定温度まで上がりました。確認は設定温度まであがったというIHレンジの結果です。 また体感的に早く温度上昇したと感じました。
効果
揚げたところ1回目は綺麗な肌色(?)になり、2回目は見事な小麦色に揚げ上がりました。
また副次的な効果として油の飛び跳ねがなくなり、台所周りが綺麗になりました。
結果について
これでなんとか唐揚げがうまくできるようになりました。長くなったので、これについての考察は別に記事をアップしあます。
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